海外に行く際の持ち物リストに必ず入るのが現金ですが、あなたはいくらぐらいの現金を持っていきますか?ホテル代などを事前に決済していけば、多額の現金を持っていく必要はありませんが、念の為、余分に現金を持っていく人もいるのではないでしょうか。しかし、度を超えた現金の持ち込みはトラブルの原因にもなるため気をつけてください。
今回は各国への現金の持ち込み規制について紹介していきます。海外に行く機会のある方は必ずチェックしてください。
まず、ほとんどの国で現金の持ち出しに上限があることを覚えておきましょう。規制のルールは各国によって違いますが、もちろん日本にも存在します。日本の場合は100万円相当以上の現金の持ち出しは申請が必要になります。現金というのは紙幣のみというわけでなく、小切手や約束手形、有価証券なども含まれるため気をつけましょう。また日本円だけでなく、外貨も合算する必要があります。ちなみに例外として北朝鮮へ向かう際は上限が10万円になるのも覚えておきましょう。申請をするには空港に置いてある申請書に必要事項を記入して、税関へ申告してください。書類は税関のHPからダウンロードすることもできます。
ではなぜ多額の現金の持ち出し、持ち込みは規制されているのでしょうか。それは犯罪を防止するためです。厳密に言えばマネーロンダリングの防止となります。マネーロンダリングとは日本語で言えば「資金洗浄」と言われており、犯罪組織が不正に入手したお金の出処をわからなくするための行為です。犯罪組織がいきなり大量の資金を使えば、何かしらの犯罪を行なったと疑われてしまうため、せっかく手に入れたお金も使えないことになります。その資金の出処を分からなくすることで、使える現金にすることから資金を「洗浄」するという表現を使っているのです。マネーロンダリングは国内で行うこともありますが、海外で行うことも多いです。犯罪組織が多額の現金を海外でマネーロンダリングをするため、現金の持ち出しを規制しています。
万が一、規制に違反した場合の罰則はどうなるのでしょうか。各国によって罰則の内容は違いますが、日本の場合は関税法第111条の規定により、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金が科されることになります。虚偽の申告をした場合も同様です。実際に世界では上限以上の現金を持ち込んだことで、身柄を拘束されたり、数百万円相当の通貨を没収された事例もあります。本人としては決して悪意があったわけではなく、「手続きが面倒」だったり「申請したいけど語学が不安」といった理由であることも多いです。しかし、いかなる理由でも身柄が拘束されることに比べたら、頑張っても申告したいと思いますね。
日本での規制内容ばかり紹介してきましたが、渡航先の規制内容もしっかりチェックしておかなければなりません。なぜなら、出国時に日本で申請すればいいだけでなく、渡航先に着いたら現地の空港でも申請が必要な場合があるからです。国よって通貨の規制上限が違うため、日本では申請したけど渡航先で必要ない場合や、逆に日本では必要ないけど渡航先で申請が必要な場合もあります。例えば中国では2万元相当(約32万円)の中国元、もしくは5,000米ドル相当(約55万円)の外貨が規制の対象になります。このように国によっては現地通貨と外貨で条件が違う場合もあります。また中国の場合、外貨は申請をすれば持ち込み、持ち出しが可能ですが、中国元に関しては2万元を超えた場合、原則持ち込みも持ち出しも不可となります。
申請方法についても各国によって微妙にルールが違います。たとえば中国の場合、5,000米ドル以上の外貨を持ち込むのに税関での申告が必要ですが、10,000米ドルまでの場合は預金銀行での許可証に申請が必要となります。10,000米ドルを超える場合には外貨管理局の許可を受けた上で、預金銀行での許可証の取得が必要になります。中国元より外貨の方が上限が高いので、外貨に換金する方も多いですが、中国の主要都市から出国する場合のみ認められています。外貨から人民元への換金した際の換金証明書「兑换水单」も必要になりますので、きちんと保管しておきましょう。
中国に現金を持ち込む際、制限がかからない現金は2万元未満の中国元、もしくは5,000米ドル未満の外貨ということになります。入国時に外貨の申し込みをした場合、出国時は入国時に申請した金額以内であれば申請なしで持ち出すことが可能です。複雑ですが現金の扱いに注意しましょう。
海外旅行初心者の中には現金の持ち込み、持ち出しに上限があることを知らない方も多いです。100万円もの現金を持ち歩くことがあまりないので仕方ありませんが、海外ではもっと上限が低いこともよくあります。知らなかったでは済まされないため、海外に旅行に行く際は渡航先の上限を必ず確認しましょう。